東急東横線のいまと青ガエル

これまでに何回か日本の鉄道の発祥の地、東京から横浜までの鉄道を取り上げてきましたが、今回は東京の副都心(渋谷)から横浜に向けて走る東急東横線について紹介しようと思います。

東急東横線とは

まず、「東急」とは「東京急行電鉄」の略で、東京都と神奈川県に路線網のある鉄道会社です。メインとなる路線は今回紹介する渋谷~横浜までの東横線、同じく渋谷駅から出る田園都市線があります。鉄道の総路線延長は97.5KmとJR以外の鉄道では少ない方ですが、小売事業(東急ハンズ・東急ストア等)・ホテル事業(東急イン・東急リゾート等)・不動産事業(東急リバブル等)等鉄道事業以外の事業を幅広く展開しており、鉄道事業の売り上げを遥かに上回ると言われています。なお、名前は似ていますが、ホテルチェーンの「東横イン」は東急グループとは関係のない会社です。

東急東横線は、現在では渋谷から横浜(かつては渋谷~桜木町まででした)を結ぶ24.1Kmの比較的短い路線ですが、渋谷駅で東京メトロ副都心線、横浜駅で横浜高速鉄道みなとみらい線と線路がつながっており、一体となった運用がされています。遠くは副都心線の終点和光市駅より更に先の東武鉄道東上線の所沢・川越駅からの列車もあり、横浜方ではみなとみらい線まで列車が直通し、横浜中華街最寄りの元町・中華街駅まで乗り換えなしで行くことができます。

池袋・新宿・渋谷と横浜間でJRの湘南新宿ラインと競合していますが、現在のところ料金・列車の本数では東急が、所要時間の面ではJR湘南新宿ラインが優位なようです(後述します)。

今回直通運転を行っている、地下鉄副都心線や横浜高速鉄道まで取り上げてしまうと非常に範囲が膨大となるため、渋谷~横浜間の東急東横線のみを取り上げていこうと思います。

東急東横線の歴史

次に、東急東横線の歴史を簡単に紐解いていくと、1926(大正15)年2月、現在の東急電鉄の前身の東京横浜電鉄が丸子多摩川駅(現在の多摩川駅)~神奈川駅間を開業させたのが始まりとなります。この開業日と同時に目蒲線(現在の東急目黒線)目黒駅からの直通運転も始まり、目黒~神奈川間の直通運転も開始されました。

その後1927(昭和2)年8月、渋谷駅~丸子多摩川駅が開業し、渋谷駅~神奈川駅までの直通運転も開始されました。この時路線名を「東横線」と改めました。

1928(昭和3)年5月には神奈川駅~高島駅(のちの高島町駅)が開通し、1932(昭和7)年3月には高島町駅から桜木町駅までが開通し、全線が開通しました。

その後、新駅の開業(武蔵小杉駅等)や沿線の複線化、架線電圧の昇圧(600V→1500V)、複々線化や特急の運行開始、中目黒駅での地下鉄日比谷線との直通運転開始等様々な歴史を踏まえ、更なる利便性向上のため、横浜方では横浜駅~元町・中華街駅まで横浜高速鉄道みなとみらい線、渋谷方では地下鉄副都心線との直通運転の開始も決定されました。

この関係上、横浜方の末端区間であった、横浜~桜木町間は2004(平成16)年1月に廃止され、東京方の渋谷~代官山間は渋谷駅の地下鉄副都心線との直通運転による地下化のため、それまで使用されていた地上の渋谷駅は2013(平成25)年3月15日惜しまれつつも廃止となりました。下の写真が最終日の渋谷駅の様子です(wikipediaより引用)。

最終電車が午前1時頃でしたが約85年間使用された駅であり、最終列車まで非常に多くの人で賑わいました。その後約3時間30分で、地下線との切り替え工事が終わり、その後は地下5階の渋谷駅からの発着となりました。この東京メトロ副都心線との直通運転開始の関係上、中目黒駅での東京メトロ日比谷線との直通運転は中止されました(現在地下鉄日比谷線の列車は全て中目黒止まりです)。

なお、現在の東急東横線渋谷駅は渋谷ヒカリエに隣接した地下5階にホームがあり、他の路線(JR線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ銀座線・東急田園都市線)との乗換に時間がかかりますので注意して下さい。

東急東横線の運行形態

次に、現在の東急東横線の運行形態について紹介します。それぞれの列車本数が多いために、どの種別の列車が何本という形態の紹介は控えますが、現在の東急東横線では他線からの直通列車を含めた以下の列車が運行されています。

・S-TRAIN

2017(平成29)年3月25日より運行が開始された、東急東横線の中では最も停車駅の少ない列車です。車両は西武鉄道の新型車両40000系が使用されます。2017年5月現在では、西武鉄道秩父駅~横浜高速鉄道元町・中華街駅の間に土日祝日のみ運行されています。西武秩父→元町・中華街には2本/日、元町・中華街→西武秩父には3本/日運行されています。

この列車は全車指定席で、乗車には乗車券の他に区間に応じた指定券(渋谷~横浜まで乗車の場合は大人350円・小児180円)が必要です。指定券は停車駅の渋谷・自由が丘・横浜以外の各駅でも購入可能で、インターネットからでも購入は可能です。詳細は以下のSトレインのリンクをご参照下さい→http://www.s-train.jp/(S-TRAIN HP)

渋谷~横浜までの途中の停車駅は、自由が丘のみです。他の駅には停まりませんのでご注意下さい。

・特急(東横特急)

料金のかからない、渋谷~横浜間での最速の種別となります。東横線とみなとみらい線内特急・副都心線内急行・東武東上線内急行・西武線内快速急行の組み合わせとなる列車限定で、「Fライナー」の愛称が付けられてもいます。「Fライナー」に該当する列車は、車両の行先表示に「F特急」と表示されます。

この種別が運行開始されたのは2001(平成13)年3月28日からで、JR湘南新宿ラインと対抗する関係上の輸送力強化の位置づけもあったようです。現在渋谷発で日中4本/時程度運行されています。

現在の渋谷~横浜までの途中停車駅は、中目黒・自由が丘・武蔵小杉・菊名です。途中の停車駅で各駅停車に接続する列車が多いです。

・通勤特急

平日の朝夕のラッシュ時、夜間に特急の代わりに運行される列車です。運行開始は特急よりも後で、2003(平成15)年3月より運行開始されています。特急と同じ車両での運行となります。

渋谷~横浜間の途中の停車駅は特急よりも多く、中目黒・自由が丘・武蔵小杉・日吉・菊名です。この列車も途中の停車駅で各駅停車に接続する列車が多いです。

・急行

各駅停車以外では停車駅が最も多い種別となります。これまで紹介したSトレイン・特急・通勤特急と違い終日にわたって運転されています。横浜~菊名で4駅通過する以外は、1駅または2駅ごとに停車し、快速並みに停車駅の多い列車となっています。渋谷発で日中4本/時程度運行されています。

渋谷~横浜間の途中の停車駅は、中目黒・学芸大学・自由が丘・田園調布・多摩川・武蔵小杉・日吉・綱島・菊名となります。

・各駅停車(各停)

説明の必要はないかもしれませんが、東急東横線内の各駅に停車する列車です。日中は1時間に8~10本程度運行されていますが、そのうちの半分は渋谷始発です。横浜や元町・中華街まで行かない菊名止まりの列車も多いので注意して下さい。朝・夕方のラッシュ時東急東横線は非常に混雑しますが、渋谷始発や菊名始発の列車をうまく使えば時間はかかるものの着席のチャンスも増えると思います。

ちなみに渋谷~横浜間における各種別の所要時間は以下の通りです。S-TRAINから各駅停車まで停車駅の数にかなりの差はありますが、東急東横線内の列車の本数が多く過密ダイヤで列車がスピードを出せないため、停車駅ほどの大きな差はついていないように感じます・

渋谷~横浜の所要時間(標準的な所要時間)   S-TRAIN・特急・通勤特急・・・26~30分

                       急行・・・30分

                       各駅停車・・・38分

渋谷~横浜までの運賃(東急東横線)・・・270円(交通系ICカード利用時267円)

※参考までに湘南新宿ラインの渋谷~横浜の所要時間   特別快速・・・24~25分

                             快速・・・25~28分

                             普通・・・28~30分

朝のおはようライナー(新宿行)、夕~夜のホームライナー小田原は渋谷駅には停車しますが、全て横浜駅には停車しませんのでご注意下さい。

渋谷~横浜までの運賃(湘南新宿ライン)・・・390円(交通系ICカード利用時388円)

東急の青ガエル

最後に東急の伝説の車両、「青ガエル」について紹介し、この記事を終わろうと思います。

上の写真の列車がそれにあたりますが、正式な名称は東急5000系電車です。1954(昭和29)年から1959(昭和34)年にかけて105両が製造されました。製造されたのはこの5年間でしたが、実際に東急東横線を走行していたのは、1954(昭和29)年から1980(昭和55)年までの26年間でした。

この列車には、航空機の技術(モノコック構造)を利用した超軽量構造と、アメリカからの最新鋭の電装機器をを兼ね備え、製造当時は、それ以前の列車とは比較にならないほど高性能な車両でした(どう高性能か紹介すると非常に長く、マニアックな話になるためここでは割愛します)。また、この車両から技術的な影響を受けた車両もあります。

この当時の国鉄の車両は、下の写真の80系電車ですが、これに倣い正面は2枚窓となりました。

国鉄のこの列車と違い、東急の5000系電車は下ぶくれした独特な風貌、カエルを連想させるライトグリーンの色から、いつしか「青ガエル」「雨ガエル」として乗客や沿線の住民に愛されてきました。

1980(昭和55)年に東横線での運転は終了し、その後東急の他の路線で使用されましたが、そちらも1986(昭和61)年に目蒲線(現在の東急目黒線・蒲田線)で運用を終了し、東急の中での運転はなくなり、他の地方鉄道会社へ多数譲渡されました(わかってる範囲で、長野電鉄・岳南鉄道・福島交通・熊本電気鉄道・上田交通・松本電気鉄道(現・アルピコ交通)等)。それらの地方鉄道でも、2016(平成28)年2月14日の熊本電気鉄道での運行を最後に運行を終了しています。

ですが、渋谷駅の前では今日も、

製造当時の色で、忠犬ハチ公の像とともに会いに来るのを待っています。渋谷にお越しの際には是非見てみて下さい。ハチ公口の前の広場にいます。

 

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