奈良県を通っていない奈良線

関西地区の方にはお馴染みかもしれませんが、京都~木津間を結ぶ路線で「JR奈良線」があります。

伏見稲荷大社や平等院等で有名な宇治、そして奈良を結ぶ路線で、沿線に多くの観光資源がありますす。ちなみにJR奈良駅は関西本線の駅となります。

以前夕方の関西地区のニュース番組の中でやっていましたが実はこのJR奈良線、奈良県を通っていません。

どういうことなのか、今回は具体的に紹介していこうと思います。

JR奈良線とは

現在のJR奈良線ですが、京都~木津(京都府木津川市)を結ぶ全長34.7Kmの路線です。

混同の無いようこちらでも記入しておきますが、沿線を走る私鉄の近鉄(近畿日本鉄道)線とは名称が異なりますので注意が必要です。JR奈良線と近鉄で競合しているのは近鉄京都線です。わかりやすく書いておきます。

JR奈良線・・・京都~木津を結ぶ路線(列車のほぼ全てが奈良駅まで乗り入れる)。

近鉄奈良線・・・布施(大阪府)~近鉄奈良までを結ぶ路線(大阪難波・阪神三宮からの列車が多い)

近鉄京都線・・・近鉄京都~大和西大寺(奈良市)を結ぶ路線、JR奈良線と競合関係にあるが、本数はこちらの方が多い。近鉄奈良駅まで乗り入れる列車も多い。

このような関係となりますが、古くからJR奈良線と近鉄京都線は競合を繰り広げていました。京都から奈良間の移動を、JR対近鉄のシェア対決で見てみると、近鉄に軍配が上がっているように感じます。首都圏等から奈良へ行く場合には、東海道新幹線→近鉄京都線で向かう方が東海道新幹線→JR奈良線を利用される方よりも多いです(天皇陛下等の皇族が奈良へ行かれる場合も、前者の行き方で訪問されます)。

では、JR奈良線と近鉄京都線を色々なデータで見ていこうと思います。比較のため、京都~奈良間での比較とします(JR奈良駅は関西本線の所属、近鉄奈良駅は近鉄奈良線の所属)。

JR奈良線・関西本線(京都~奈良)

・運賃・・・710円

・所要時間・・・みやこ路快速で約45分。普通で75分位。

・奈良までの直通列車の本数・・・日中はみやこ路快速2本/時、普通2本/時(平日)

=合計4本/時

近鉄京都線

・運賃・・・620円   特急料金・・・510円

・所要時間・・・近鉄特急で約35分。急行(料金不要)で約48分。

・奈良まで直通列車の本数・・・奈良までの直通特急2本/時、直通急行1本/時

大和西大寺(奈良市)乗換奈良方面 特急1本/時 急行2本/時

普通 3本/時

=奈良方面への合計・・・特急 3本/時、急行3本/時、普通3本/時(平日) 合計9本/時

このように、運賃(特急料金を除く)と運転本数は近鉄優位で、所要時間もJR奈良線のみやこ路快速と近鉄の急行の所要時間がほぼ同じ状態です。京都~奈良間最速は近鉄特急となります。

奈良を通らなくなった奈良線

ここまでで、奈良線の現在の状態については簡単に説明しましたが、何故奈良を通らなくなったのか?歴史から見ていこうと思います。

奈良線の歴史は古く、1879(明治12)年まで遡ります。当時の官営鉄道(後の東海道本線)として京都~稲荷~大谷間が開業したのが始まりです。奈良線の中で最も歴史が古いのは現在の京都駅・稲荷駅となります。

その後1895(明治28)年、私鉄の奈良鉄道により京都~伏見間が開業し、京都駅は官営鉄道と奈良鉄道の共同使用となります。その後路線の延伸が進み、1896(明治29)年4月には最後の木津~奈良の区間も開業し、奈良線が全通します。この時の奈良駅は奈良線の所属でした。

1897(明治30)年には、奈良鉄道京都駅が七条駅と改称、1905(明治38)年には奈良鉄道の路線は関西鉄道に譲渡される、1907(明治40)年にはその関西鉄道が国有化される、1908(明治41)年には七条駅が京都駅に統合される等の歴史を経て、1909(明治42)年10月には鉄道院告示第54条による国有鉄道線路名称制定により、奈良線は木津~京都間となり、木津~奈良は関西本線になりました。

つまり、奈良線の区間が京都~木津間となった1909(明治42)年以降、現在のJR奈良線は奈良県を通っていないことになります。奈良県を通らない奈良線の歴史は約120年続いています。

奈良線の観光名所

次に奈良線沿線の観光名所について紹介していこうと思います。なお、奈良駅は関西本線の所属となる為、春日大社や東大寺・奈良公園等からはここから除外しました。

奈良線が全て京都府内となるため、京都の観光地の紹介となる部分もありますが、全国的に見ても非常に有名な場所ばかりです。

・東福寺

京都市東山区にある臨済宗東福寺派の大本山となる寺院です。京都五山第四位の禅寺として1206年の創建より栄えてきました。明治の廃仏毀釈の時に規模が縮小されたものの、塔頭(山内寺院)を25も有する非常に大きな寺院です。秋には紅葉のきれいな寺院として、毎年多くの観光客が訪れます。

アクセス・・・JR・京阪本線東福寺駅下車 徒歩10分

東福寺HP・・・http://www.tofukuji.jp/

・伏見稲荷大社

全国に「~稲荷」とつく稲荷神社は全国で約30000か所あるそうですが、その総本山となるのがこの神社です。初詣でも非常に有名な神社で、参拝者数は近畿地方最多、日本国内でもトップクラスの神社です。稲荷山の麓に1枚目の写真の本殿がありますが、この稲荷山全体を神域とします。2枚目の写真の千本鳥居も有名です。最寄り駅はJR奈良線稲荷駅ですが、お正月には激しく混雑するため、お正月のみ快速列車も停車します。

アクセス・・・JR奈良線稲荷駅下車すぐ または 京阪本線伏見稲荷駅下車徒歩5分

伏見稲荷大社公式HP・・・http://inari.jp/

・平等院

京都府宇治市にある10円硬貨の表のデザインにもなった有名な神社で、世界遺産にも指定されています。藤原頼道が11世紀に開基した場所で、藤原氏ゆかりの地となっています。写真の鳳凰堂の中央の中堂には、平等院の本尊である阿弥陀如来像が置かれています。阿弥陀如来像は国宝にも指定されているものです。平等院まではJR奈良線・京阪電鉄とも宇治駅が最寄りとなりますが、JRと京阪の駅は宇治川を挟みそれぞれ別々の場所にあり、約900m離れているので注意して下さい。

 

まとめ

今回は記事の長さの関係上簡単な説明となってしまいましたが、奈良線は開業最初から奈良県を走行していなかったのではなく、歴史的な経緯から奈良県に入らないようになってしまったということが今回の記事作成を行っている最中に知りました。

色々な箇所で工事はしており、単線の場所も多く列車の本数も近鉄の方が多いものの、沿線には世界遺産の観光地がいくつかあり、初詣の人でも楽しめる路線です。

古の都の雰囲気にふれたくなったら、「そうだ、京都行こう」のコマーシャルでも有名な京都・奈良に出かけてみてはいかかでしょうか?その際には、「奈良県を通ってない」奈良線も是非乗ってみて下さい。

 

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