日本の鉄道の「さくら」と「桜」

 

寒かった冬も過ぎ、いよいよ春となってきました。桜の開花予想もでて、これから桜前線が徐々に北上していくかとは思います。日本の国花であり、「お花見」等日本人とは切っても切れない存在の「桜」。今回は日本の鉄道における「桜」と「さくら」について見ていこうと思います。

愛称としての「さくら」

日本の列車における「さくら」の歴史は古く、最初のものでは戦前まで遡ります。現在まで含めると、「さくら」という愛称は以下の4つの列車で使われていました。

1・第二次世界大戦以前の1923(大正12)年から1943(昭和18)年まで鉄道省により東京~下関間で運行していた第3・第4特別急行「櫻」(「櫻」の愛称がついたのは1929年以降)。

2・1951(昭和26)年から1958(昭和33)年まで国鉄が東京~大阪で臨時・不定期で運行していた特急「さくら」。

3・1959(昭和34)年から2005(平成17)年に国鉄により東京~長崎(1965~1999年は佐世保行きも併結)で運行していた寝台特急「さくら」。

4・2011(平成23)年からJR西日本・JR九州が山陽新幹線・九州新幹線で運行している新幹線「さくら」。

なお、1枚目の写真のものは3.の寝台特急の「さくら」(「さくら」の愛称を冠されていたものでは歴代最長の列車)、2枚目の写真は現在も運行されている4.の「さくら」です。

もともと、「さくら」の愛称については、日本の事実上の国花として多くの国民に好まれ、親しみを持たれていたこと、最初に公募で愛称をつけた1929年頃が不景気で鉄道の利用者も減少しており、再び活況を取り戻そうとつけられたのが始まりのようです。

2.から漢字の「櫻」ではなく、ひらがなの「さくら」となり、3.の寝台列車にもその名は引き継がれました。歌手・俳優の福山雅治さんが長崎から最初に上京した時に乗車していた列車も3.の「さくら」です。

寝台特急の利用客が低迷していたことから、3.の「さくら」は2005(平成17)年で一旦消滅しますが、2011(平成23)年に全線開業する九州新幹線の列車のうち、山陽新幹線と九州新幹線(新大阪~鹿児島中央)の直通列車の愛称を2009(平成21)年に一般公募したところ、応募数最多の愛称であったことと、使用される新幹線の車両(N700系7000~8000番台)のコンセプトの「日本の美しさ」に合致することから、「さくら」の愛称が復活しました。

なお、「さくら」の愛称が復活したのは2011(平成23)年3月12日のダイヤ改正ですが、この日の前日に起こった東日本大震災の影響により開業記念式典等は全て中止され、静かな復活となりました。

駅名としての「さくら」

 

次に駅名について、「さくら」「桜」「櫻」の存在を見てみましょう。どこの国の鉄道の駅名でもそうなのですが、駅名として使用されるのは、その場所の地名や施設(市役所等)の名称が多く使われています。

全国にも多数の「さくら」「桜」を冠する地名があり、駅名にもそれが使用されている例が多くあります。ここでは、そんな「さくら」「桜」の使用されている駅について紹介しようと思います。なお、記事の趣旨が「桜」「櫻」に沿った内容であることから、「佐倉」や「咲良」等読みは同じでも違う漢字の駅名はここでは除外しますのでご了承ください。

・駅名がそのまま「桜」の駅

桜駅・・・名鉄名古屋本線(愛知県)、近鉄湯の山線(三重県)

・駅名の一部に「桜」「さくら」がつく駅名。

・桜井駅・・・名鉄西尾線(愛知県)、桜井線・近鉄大阪線(奈良県)、阪急箕面線(大阪府)
・桜岡駅・・・石北本線(北海道)
・桜街道駅・・・多摩都市モノレール線(東京都) ・桜ヶ丘駅・・・小田急江ノ島線(神奈川県)
・桜川駅・・・近江鉄道本線(滋賀県)、大阪市営地下鉄千日前線・阪神なんば線(大阪府)
・桜木駅・・・千葉都市モノレール2号線(千葉県)

・桜木町駅・・・根岸線、横浜市営地下鉄線(神奈川県) ・桜坂駅・・・福岡市地下鉄七隈線(福岡県)
・桜沢駅・・・長野電鉄長野線(長野県)、秩父鉄道秩父本線(埼玉県)
・桜島駅・・・桜島線(JRゆめ咲線)(大阪府)
・桜島桟橋通駅・・・鹿児島市電1系統、鹿児島市電2系統(鹿児島県)
・桜上水駅・・・京王線(東京都) ・桜新町駅・・・東急田園都市線(東京都)

・桜台駅・・・西武池袋線(東京都)、西鉄天神大牟田線(福岡県)
・桜田門駅・・・東京メトロ有楽町線(東京都) ・桜ノ宮駅・・・大阪環状線(大阪府)
・桜橋駅・・・静岡鉄道静岡清水線(静岡県)、富山地方鉄道富山市内軌道線本線(富山県)
・桜本町駅・・・名古屋市営地下鉄桜通線(愛知県) ・桜町前駅・・・名鉄西尾線(愛知県)
・桜町駅・・・長崎電気軌道桜町支線(3系統)(長崎県)、飯田線(長野県)

・桜水駅・・・福島交通飯坂線(福島県) ・桜山駅・・・名古屋市営地下鉄桜通線(愛知県)
・新桜台駅・・・西武有楽町線(東京都) ・聖蹟桜ヶ丘駅・・・京王線(東京都)
・南桜井駅・・・東武野田線(埼玉県)、名鉄西尾線(愛知県)
・若桜駅・・・若桜鉄道若桜線(鳥取県)

・井川さくら駅・・・奥羽本線(秋田県) ・さくら夙川駅・・・東海道本線(JR神戸線)(兵庫県)

全国で以上約40駅が「桜」「さくら」の付く駅になります。もしここに記載されている駅以外で、「桜」「さくら」の付く駅名がありましたら、コメント等で教えていただけると有難いです。

車両としての「さくら」

 

ここでは、列車で行ける花見の名所について書こうかと思いましたが、駅から近い花見の名所が全国的に多いこと、どこの桜の名所が一番良いのか判断基準は人それぞれであるため、桜の名所についての記載は今回は見送ろうと思います。

その代り、「さくら」を冠した車両名を持つ2列車についてここでは紹介しようと思います。

・さくらライナー(近畿日本鉄道・26000系電車)

近畿日本鉄道(近鉄)の特急車両のひとつとなります。現在の運転区間は大阪阿部野橋~吉野までです。

この区間の特急列車は古くから「吉野特急」と呼ばれ、1965(昭和40)年から運転を開始していました。1990(平成2)年に運転開始25周年となることから新たに開発され、運転を開始ししました。

この車両の走行する近鉄南大阪線は歴史的な名所や古墳が多く、日本書紀にも登場する飛鳥や、白鳳時代や南北朝時代ゆかりの土地や、桜の名所としても有名な吉野も沿線にあります。吉野山の千本桜や吉野杉、田園や渓谷等日本の伝統的風景が展開する場所でもあり、そのような路線の特徴を車両に活かすべく、以下のデザインポリシーが開発時設定されました。

・日本の伝統的美意識の車両展開

・乗ること自体を楽しめる車両

また、開発に当たっては「さくらコンセプト」(さ=さわやかデザイン、く=くつろぎ車内、ら=らうんど展望)を打ち出しての設計がされたそうです。走行する路線の性質上、観光だけでなく通勤にも対応できる車両設計となっています。

1990(平成2)年の走行開始時は普通車のみの設定でしたが、走行開始してから20年を経過した2010年より車両のリニューアル工事が始まり、2011(平成23)年よりリニューアル編成の走行が開始されています。リニューアル編成には新たにデラックスシートも設定され、塗装も従来の緑からピンクに変更され、より吉野らしさが出た車両となりました。

・さくらトレイン(名古屋鉄道・3150系または3700系)

こちらは、受験シーズン限定の列車となりますが、さくらライナーのような専用の車両ではなく、名古屋鉄道の通常の車両に桜柄のラッピングがされた車両です。

チョコレート菓子でもある、ネスレ社のキットカットともタイアップしたこともあり(受験シーズンになると、「きっと勝つと」と合格祈願にかけた商品展開がされますが)、受験生を応援する列車として運転されています。「サクラ咲く=受験に合格し希望の学校に入学する」という意味でもあり、車内には合格を応援するメッセージや、自分で合格を願うメッセージを掲載することができます。メッセージの投稿は名古屋鉄道の特設サイトだけでなく、twitterやfacebook、instagram等でも投稿が出来るようです。概ね11月~翌年3月にかけて運行されています。

詳細はこちらのリンクを御参照下さい→http://www.meitetsu.co.jp/files/osusume/sakura/(名古屋鉄道さくらトレインHP)

さいごに

今回は、いつもと趣を変え、「鉄道における「さくら」」で記事を書きました。これからお花見のシーズンとなると、様々な媒体でお花見の名所等紹介されますが、鉄道の車窓からも桜が見える場所は多いかと思います。

今回の記事は日本の鉄道における「さくら」との関連でしたが、お弁当・車窓等まだまだ桜とのつながりはあります。

この記事を読まれた方は是非、鉄道の様々な「さくら」を探す旅に出かけて見てください。鉄道と桜について、コメント・メッセージ等いただければ幸いです。

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